マルサの差押

マルサというを言葉をドラマや映画で取り上げられたためご存知の方も多いと思います。マルサとは国税局の査察部のことであり、マルサによる差押とは行政法に則った捜査によって財産の差押を行うことを意味します。
同じ調査には税務署による調査がありますが異なる点は、国税局による調査は強制調査だということです。その点からしてもマルサによる査察は故意による脱税など悪質性が高い事案に対して行われることが分かります。また調査に携わる人数も税務署の任意調査よりも多いです。
ではどのようにしてマルサの査察は行われるのでしょうか?
査察には裁判官からの許可状の交付を受けて強制調査を実行しています。この強制調査では脱税の疑いがあるものは全て差押えされます。査察官には逮捕する権限が有りませんので、悪質な行為が見つかれば検察官に告発をして裁判にかけるか、もしくは告発を見送った場合は修正申告や更正といった流れになっています。
国税局による査察は、単に財産の差し押さえによって税金を強制徴収することがだけが目的ではなく、税法にも定められている通り社会的責任を追及し刑罰を課すことでも有ります。裁判により有罪が確定した場合は罰金刑や実刑の恐れもあります。

捜索差押許可状ってドラマで言う令状のこと?

捜索差押許可状とは、俗にガサ状ともいい、裁判所が発する裁判書の一種です。この許可状がなければ、捜査機関は住居やその他の場所に立ち入って犯罪について捜索をすることができません。なお、この許可状を捜索差押令状と呼ぶこともありますが、一般に令状といいますと、逮捕や勾留などの際に裁判所が発する裁判書も含まれます。もっとも、ドラマに出てくる令状とほぼ同義であると考えて良いでしょう。

しかし、この捜索差押令状があれば何を捜索・押収しても良いわけではありません。捜索差押令状には、被疑者等の氏名や罪名、捜索すべき場所・身体・物等が記載されていますが、この記載とは関係のないものについて捜索・押収することはできません。というのも、捜査機関が一定の行為を行うときには裁判所の発する令状に基づかなければならない、という令状主義に反することになりかねないからです。令状主義は憲法を根拠とする刑事訴訟法上の原則ですから、これに反するわけにはいかないのです。なお、一つの令状で複数の場所を捜索することも許されません。

ドラマでは、令状に関係のないものについても捜索・押収しているように見えますが、現実にはそのようなことはできない、ということです。

刑事手続での差押

差押とは、国家権力により特定の物や権利について、一般人の事実上または法律上の処分を禁止して確保することをいいます。差押にはいくつかの手続きがあり、一つは民事手続きです。この手続きでは、債権者の権利を実現するために、国が債務者に対し、動産・不動産・債権などの財産の処分を禁止することを指します。民事手続きは、原則として競売や強制管理などの強制執行に入る前の段階の措置です。
一方、民事手続き以外の措置として刑事手続きがあります。この手続きでの差押とは、物の占有を強制的に取得する処分のことを指します。対象となるものは基本的に証拠物になりますが、犯人逮捕に伴う無令状での差押の場合、犯人が所持していた武器や逃走用具などの差押も可能となっています。捜査段階での差押では、原則として裁判官が発する令状によって執行が可能となりますが、法律に法った犯人逮捕の現場での差押では、令状の発令を待たずとも可能です。
刑事での手続きでは、検察官または検察事務官、司法警察員が創作差押許可状の発付を、刑事訴訟法218条3項に基づき、裁判官に対して請求することができ、裁判官はこの請求を受けて令状を発付します。このようにして、刑事の手続きによる差押が実行できるのです。

仮差押と担保の関係

強制執行とも呼ばれる差押を実行するまでには、裁判所に申立を行った後に、申立をした側が勝訴しなければなりません。これとは別に、差押の判決が出る前の段階で実行可能な、仮差押という制度が存在します。しかし、この方法を行うには、裁判所に担保を支払う義務が生じます。
あくまでも仮の方法ですので、差押のように返済に応じない相手の財産を処分することはできません。この方法が活きるのは、判決前に相手が勝手に財産処分をしてしまう場合です。差押の許可が出ても、相手に財産がなければ差押えるものが残されていませんから、せっかくの判決も無意味になってしまいます。
仮の差押を裁判所に認められれば、相手が土地などの財産を売却できないようにすることが可能です。
担保が発生するのは、差押の判決がまだ出ていない状態だからです。判決が出るまでは、申立人の主張が正しいとまだ判断されてはいません。判決で申立人が敗訴した場合に、今度は相手から申立人に対して損害賠償請求の裁判を起こす際に、このお金が引き当てられることがあります。
担保の金額としては、債権額の数割程度となっているのが一般的です。差押の申立に対する判決が出た時に勝訴すれば、裁判所から返却してもらえます。

財産処分の強制力

住宅ローンやマイカーローン、カードローンやキャッシングなどでは、借りる側にあたる債務者と、貸す側である債権者が必ず存在しますが、長い返済期間の中で、債務者側の事情により、返済が滞ることも場合としてはあり得ます。
いくら返済するよう連絡をしても、いっこうに返済をしてくれないのであれば、民事手続きによる強制執行をするしかありません。強制執行とは債務者の財産処分を債権者側が行うもので、強制力の高い方法になります。
強制執行が行われるかは、裁判所で判決が下されます。許可が下りれば債務者の意向に関係なく、給料や預金口座、土地や貴金属など、財産に該当する多くのものを差押えることができます。
ただし、財産に該当しそうなものであっても、生活必需品だと判断されたものや、一定金額までは強制執行ができないなどの、細かな決まり事があります。債権者側の望み通りに、債務者が所有する全ての財産を処分できるわけではないことを、知っておかなければなりません。
強制執行を受けた債務者側はたとえ自分のものでも、給料や銀行口座のお金を処分できないといった生活に支障が出る事態へと陥りますので、強制執行となる前に、債務整理を行うのがよいでしょう。

債権の差押とは

友人や知人にお金を貸した場合、その時点で貸した側は債権者ということになります。つまり、貸したお金を返してもらう権利を持つということです。では、債務者から自発的にお金を返してもらえない場合はどうすればいいのかというと、最終的には差し押さえをするしかありません。
ただ、差し押さえをするには段階的な手続きが必要なので、実際には差し押さえを行うかどうかは、どれぐらいのお金を貸したのかということで判断する必要があります。たとえば、10万円を貸したけど返済してもらえないという状況で差し押さえを行うのは、あまり割に合いません。というのは、まず裁判を起こすのにお金がかかりますし、裁判で勝ったとして、今度は債務者にどれぐらいの財産があるのか、あるいはどこで働いていて、どの銀行に口座を持っているのかということを調べないといけません。それがわかったら、今度は裁判所に対して差し押さえ手続きを申請する必要があります。これもお金がかかります。
ただ、とりあえず支払督促を送ったり、裁判を起こす手続きをして、債務者にこのままだと差し押さえをしますよという圧力をかけて返済を迫るという方法もあります。返済してもらったら、訴えを取り下げればいいので、裁判費用はかかりません。

不動産と相反する「動産」の差押

債務者が期日を過ぎてもなかなか返済に応じてくれない場合、差押をする必要が出てきます。そこに至るまでには支払督促を通じて、返済をするように意思を伝えることができますが、それでも無理であれば、差押の申立に移行するようになります。
差押できるものには種類があります。給料や預金、土地や建物、現金、宝石や貴金属、有価証券などです。
現金や宝石、貴金属、裏書のできる有価証券などは動産にあてはまりますが、土地や建物を差押える場合とは明らかな違いがあります。
土地や建物はそこに人が住んでいようと、差押が可能です。土地や建物を競売にかけた結果、その売却額を配当として債権回収にあてることになります。
これが現金や宝石、貴金属といった、土地や建物以外の財産を差押える場合、66万円までの価値を持つものは法律で差押ができないようになっています。例えば債務者が所持している現金が60万円しかなければ、その現金の差押は実行不可です。
生活必需品も、差押対象外となります。高価な衣料品や家具、家電を債務者が所持していても、それが生活必需品と判断されれば、差押ができません。土地や建物と比較して、判断が難しいという特徴を持っています。

差押と言えば、よく聞く不動産

借金をする人なら必ず心得ておきたいことが、返済が滞った時の相手側の対応です。借金をしたなら期日までに返済をする義務が生じますが、あまりにも返済が滞ると、督促が送られてくるようになります。督促に応じなければ、差押にまで進展します。
差押の対象としてよくあげられるのが、給与や預金、土地や建物といった不動産などの財産です。これらを差押えることで、債権者側が債権を回収します。
給与や預金はお金ですから、そのまま債権回収にあてることができますが、土地や建物はお金ではないことから、差押えた後にはお金に換えるため競売にかけられます。
競売では、その土地や建物を欲しい人の中で、最も高い提示額を出した人に売却されることになります。競売に参加した人の個人情報、提示額は秘匿とされ、競売の結果が出るまで購入者や金額が分からないようになっています。
差押は債権者が独自に判断して、行えるものではありません。まず債務者が返済に応じてくれない事実を、裁判所に知ってもらうため、申立を行うことから始まります。裁判所が許可をすれば、競売が開始され、土地や建物の調査、価格評価などがされます。
その後入札が行われ、購入代金が支払われれば、債権者へ配当として渡されます。

差押が行われるまで

民事執行法上の差押は、債権者の権利のために、国が債務者に不動産・動産・債権などの財産の処分を禁止する民事手続きです。差押が行われるまでの流れは、次のようになります。
調停や審判で決まった支払いがされない場合、裁判所に差押の申請をします。これには、権利を証明する公的な書類が必要です。裁判所による判決書、和解調書、調停調書がよく利用されます。裁判の結果、請求権が認められた判決書はもちろん、裁判や調停が和解で終了した場合の和解調書・調停調書も判決書と同様の効力があります。
次に、差押できる財産の情報も必要です。売掛金や預金のような債権、給料、不動産などを調査します。債権者自身が調査する必要があることに注意します。
これらの情報や資料とともに、裁判所に差押の申し立てをします。
裁判所は、申し立てが法にかなっているかを確認し、開始決定を行い、差押命令正本が送付されます。
債権差押の場合で給料などの差押債権があれば、裁判所で弁済金公布手続きをします。差押債権がなければ、取下げになります。不動産差押の場合には、目的不動産に差押の登記がされます。その後、不動産の競売が行われ、裁判所が債権の順番に従って売却代金を配当します。